言語

よく困ったことがあったら相談しなさい、と言う。その際何に悩んでいるのか、どのようなことが障害になっているかを端的に伝える必要がある。しかし私にとっての悩みは、自分が何に悩んでいるかを明確化し、それを他人に伝わりやすいように言語化することの困難さにある。

頭の中には悩みというのが混沌という形で存在し、言葉はそれを切り取ったり表現可能な形に変換したりする役割を持つ。そこで私が抱える障害は①混沌をどこまで切り取るか。②切り取った混沌をいかにして言語に変換するか。③変換した言語をいかに論理的に文章化するか。④いかに相手に伝わるよう発声するか。の4点であろう。

この詳細は後日検討するとして、この障害は誰にも悩みを相談できない、相談しようとしたところで、相手から君の言いたいことがよく分からないと無下にされるという苦しみを生む。そしてそれは悪い意味での孤独につながる。

「おれはいやだ、いやだけれども、おれにはこれに対抗する理論は一つもない、あるのはおれの指だけだ、皮膚の中に深く食い込んでいる意見を証言している弱い指しかない」

自分の考えも悩みも頭の中に混沌として確かに存在する。ところがそれを言葉に示すことができない。私から発する言葉からしか私を評価しえない他者からすれば、黙っている私は何の考えもない白痴でしかない。しかしそれはあまりに悔しい。自分で自分を表現できない、あるのはおれの弱い指しかない、対抗する言葉は一つもない。